- NFTには問題点が複数ある
- NFTが発展途上であることを理由にやめとけと言われることも
- NFTの問題点解決に向けて、政府主導で動き始めている
2021年から2022年にかけて急速にNFTが普及しました。まだ新しい概念であるということもあり、法規制がきちんと整っておらず、現状さまざまな問題点が浮上しています。これからNFTを始めようと考えている人は、問題点をしっかりと理解して置くことが重要です。
本記事では、
- NFTが抱える問題点
- NFTが抱える問題点に対する解決策
- NFTを国家戦略に置くための政府の取り組み
など、NFTが抱える問題点についてまとめています。詳細をご覧ください。
筆者は2017年から暗号資産(仮想通貨)投資を行っており、NFTアートの取引で120ETHの利益を生み出した経験があります。OpenseaやLooksrareをはじめとした複数のNFTマーケットプレイスの利用経験、実際のNFT購入によってNFTアイコンを設定した実体験をもとに本記事を執筆しています。 コンテンツ制作・エディトリアルポリシー
NFTの問題点・やめとけとされる理由
法整備が完全に整っていない
NFTは比較的新しい概念であるため現行の法律がまだ追いついておらず、万が一、NFTに関連して著作者と購入者の間で問題が発生した場合、その対処が難しく、混乱を招く可能性があります。
法律のプロである弁護士でも、現状NFT周りの問題への対応は難しいといわれているほどです。基本となる法律が存在しないため、どこからが違法で、どこからが合法なのかが明確化できず、また、NFTに特化した弁護士が少ないことも相まって対応に時間がかかってしまうのが現状となっています。
また、NFTではOpenseaなどのマーケットプレイスを介して、世界中のユーザーと取引が可能です。国ごとでNFTに関する法律や取り扱いが異なる場合、トラブルが発生した際の対応が複雑になります。
厳しすぎる法律は市場の発展を阻害してしまう恐れがありますが、正しい規制が存在しない無法地帯であるのは問題です。少しずつでも着実な議論を行っていき、できるだけ早く明確な法規制を行う必要があるといえます。
価値変動による損失リスク
NFTは需要と供給によって価格が上下するため、購入したNFTの市場価格が下がり、損失を出してしまう可能性があります。
仮想通貨やその他の商品についても同じことがいえますが、絶対に価値が向上するNFT・投資商品は存在しないことをしっかりと理解したうえで、余剰資金で購入することを意識しておきましょう。
トークン価値の下落
NFTゲームではゲームをプレイすることで仮想通貨・トークンを報酬として獲得できるものが多いです。このとき獲得できるトークンの価値は一定ではなく、常に上昇と下落を繰り返しています。
例えば、スマホでプレイできるTitan huntersというNFTゲームでは、ゲーム内でTITAトークンを獲得することができます。このTITAトークンは2022年11月には0.6ドル相当の価格で推移していましたが、わずか半年後の2022年6月には0.004ドルまで暴落する結果となりました。

このようにNFTゲームは流行が終わり、新規ユーザーが増えなくなるとたちまち価格に影響を及ぼすため、大きな価格変動が起きやすいということを理解しておきましょう
マネーロンダリングに利用される恐れ
NFTアートの売買では仮想通貨を利用することが一般的です。また、NFT取引では1度の取引額が高額です。そのため、マネーロンダリング (資金洗浄) に利用される恐れがあるとされています。
また、NFTが販売されるたびにアーティストに自動的にロイヤリティ報酬が支払われるように設計されたスマートコントラクトは、短期間で取引を繰り返すインセンティブを生み、不正行為を助長する可能性があるとも指摘されています。

ChainalysisがNFTを利用したマネーロンダリングを分析した結果によると、不正なアドレスからNFTマーケットプレイスに送られた金額は、2021年の第3四半期と第4四半期に大幅に増加し、最高で140万ドル (約5億円) に達したとされており、NFT取引とマネーロンダリングの課題の解決にはまだ時間がかかりそうです。
盗作が多く存在する
NFTでは成功しているプロジェクトの盗作が多いことが問題視されています。
唯一無二なデータである点がNFTの魅力の1つですが、画像データだけを見ると、かんたんにコピーして複製することが可能となっています。
購入する際は、購入ページが本当の作者のものであるかどうかを念入りに確認するようにしてください。間違って盗作のNFTを購入してしまったとしても、補償してくれることはありません。
プロジェクトの取引高を自作自演可能な仕組み
NFTは取引履歴や取引高をリアルタイムで確認できるようになっており、成長しそうなNFTや価格が上昇しそうなNFTをそれらの指標をもとに探している人も多いです。
しかし、NFTではアカウントを複数作成することで、取引量を自作自演して大きく見せることができるという点に注意しましょう。
例えば、MOMOCOというNFTプロジェクトでは、空のアドレスを利用した自作自演取引が疑われ、価格に大きなマイナス影響を及ぼしました。
ハッキングの恐れ
NFT取引ではMetamaskなどの仮想通貨ウォレットを使用することになります。仮想通貨ウォレットは完全に個人で管理するものなので、万が一ハッキング被害にあって資金を盗まれても、補償してくれるところはありません。
本物そっくりに作成された偽物のホームページに接続してしまうことで資金を盗まれてしまう事例や、TwitterのDMなどで公式運営者を装ったメッセージを送り、ウォレットの秘密鍵を盗み取るなど、ハッキング手口は少しずつ巧妙になってきています。
怪しいサイトにはアクセスしない、知らないアカウントからのメッセージには応対しないなど、自衛力を高めていくことが重要です。
ラグプルプロジェクトも存在
ラグプルとは、NFTプロジェクトの運営者がユーザーの資金を持ち逃げする詐欺のことです。
NFT領域では、ロードマップだけ魅力的に見せてユーザーから資金を集め、実際の開発は行わずに逃げるプロジェクトがちらほら存在します。
プロジェクトがラグプルかどうかは自身で判断するしかありませんが、「Rug Dog」など、プロジェクトのリスク評価をまとめているウェブサイトが存在しますので、積極的に活用すると良いでしょう。
ただし、何事も完全に信用するのはやめましょう。あくまで自己責任の領域になります。
セルフゴックスによる資産喪失
セルフゴックスとは、仮想通貨ウォレット関連で手続きミスすることによって自ら仮想通貨を失ってしまうことを指します。過去にマウントゴックス社で発生したハッキング被害を文字っています。
具体的なセルフゴックスの原因には以下のようなものが挙げられます。
- 誤ったウォレットアドレスに送金してしまう
- 送金時のネットワークを間違えてしまう
- 仮想通貨ウォレットのシードフレーズや秘密鍵を忘れてしまう
日本円のように銀行が資金を管理してくれることはないため、仮想通貨を取り扱う際は細心の注意を払う必要があります。
アドレスの入力ミスなど、初歩的な間違いで大切な資金を失ってしまわないように注意しましょう。
環境問題
NFTと環境問題は非常に密接に関連しています。
NFTはブロックチェーン技術を利用して、インターネット上で取引されるものです。そのための仕組みとして、「マイニング」があります。問題は、この 「マイニング」に膨大な電力が使われていることです。
マイニングに必要な電力供給が増えれば、それに伴って二酸化炭素排出量の増加につながります。現在、サステナビリティやSDGsなど環境問題への関心が高まる中、この問題にどう対処するかが重要です。
NFTの問題点に対する解決策
日本は漫画やアニメなどが人気なコンテンツ大国ということもあり、NFTを始めとしてWeb3時代の到来を大きなチャンスととらえ、国家戦略として強化していこうという動きが政府主導ではじまってきています。
Web3時代の責任あるイノベーションをけん引していくため、「NFTホワイトペーパー(案)」が自由民主党NFT政策検討プロジェクトチームによって公開されました。その中で提言されている6つのテーマと24の論点については以下の通りです。
- 国家戦略の策定・推進体制の構築
- NFTビジネスの発展に必要な施策
- コンテンツホルダーの権利保護に必要な施策
- 利用者保護に必要な施策
- NFTビジネスを支えるBCエコシステムの健全な育成に必要な施策
- 社会法益の保護に必要な施策






NFTが抱える問題点についてのまとめ
NFTはまだ発展途上の段階にあり、多くの問題を抱えています。これらの問題を解決するためにはまだ多くの時間が必要となりますが、どのような問題があり、解決に向けてどのような動きが行われているのかを理解しておくことは重要です。
本記事をきっかけに、NFTの問題点と将来性について意識を向けてみてください。
なお、NFTの販売や取引にはほとんどの場合イーサリアムが必要となります。あらかじめイーサリアムを用意しておき、いざというときにすぐに行動できるようにしておくと良いでしょう。イーサリアムの購入は入出金手数料が無料な「FTX Japan」がおすすめです。